志帆は柚希の頬に手を添え、そっと口付た。
何度もキスしてるのに未だに緊張する柚希。啄むように何度もキスをすれば、自然と力が抜けていくのを志帆はよく知ってる。
そんなところが可愛くて仕方ない。
「んっ……」
「甘いでしょ?」
「わ、分かんないわよ……」
「えー、しょうがないなぁ」
志帆はもう一つチョコを口に入れ、そのままキスをした。
チョコと一緒に入り込んだ舌先が絡みついてくる。
まだ慣れない、深いキス。柚希は志帆の背中にしがみつき、一生懸命応える。たどたどしく絡めてくる舌が、熱情を煽る。
可愛い。いつもは真面目で堅物な彼女が、自分の前でだけこんな顔をする。最初は無表情のつまらない奴としか思わなかったのに。キスを繰り返しながら、志帆はそんなことを思いかえした。
「ん、ふ……」
「もっと、口開けて?」
「は、ぁ……ん」
「……良い子」
そっと床に倒し、何度も何度も口付ける。
チョコと一緒に蕩けた顔の柚希。潤んだ瞳に高揚した頬。全てが志帆を煽る材料にしかならない。
「ね? 甘いでしょ」
「……甘すぎるわ、こんなの」
「ふふ、可愛い……」
「し、ほ……」
もっと欲しいと求めるように、柚希は志帆の首に手を回す。
触れるだけのキスを繰り返し、その先をせがむように。どれだけ理性を掻き乱せば気が済むんだろうか。いつもギリギリのところで耐えているというのに。
「今日は、嫌だって言っても止めてあげられないからね」
「いい、よ……」
「本当に、意味分かってんのかよ」
学校では優等生でも、色恋沙汰に関してはお子様な彼女。
だからこそ、こういうときは無意識だ。自分が今何をしてるのか、その行為がどれだけ相手の欲情を煽るのかもわかっちゃいない。
でも、そこがたまらない。
真っ白な少女が自分だけに乱れる姿。好きな女の子が、自分だけに見せるその誘惑的な表情。
なんて愛おしいんだろうか。
「あっ、ん……」
「もっと……柚希を、ちょうだい」
「し、ほ……しほ……」
「好き。好きだよ、柚希」
一度知ったら、もう戻れない。
もう互いしか見えない。他のものなんか、欲しくない。
何よりも甘い、蜜の味。
「ねぇ、柚希。大学受かったら一緒に暮らそうか」
「え」
「ずっと、一緒にいたいじゃん」
「……志帆。うん、嬉しい……」
幸せに満ち溢れたその笑顔に、志帆もついもらい泣きしてしまいそうになる。
その溢れ出てしまいそうな感情をぶつけるように、何度も口付ける。
唇を重ね合い、互いの熱を交じり合わせていく。このままチョコレートのように溶け合って、二人が一緒になってしまうんじゃないか。
そんなことをお互いに思いながら、身体を重ねていく。
まるで永遠に続くような、むせ返るほど甘い時間を過ごしながら。